沖縄本島一周。6日目。東海岸突入。

 

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沖縄本島一周を始めて前回の久高島に着いたあたりから東海岸側に入った。

僕の中で東海岸の特に北部はこの旅の中で楽しみにしてる。まだあまり人の手が入っていないワイルドな沖縄本島の景色を見れるからだ。

本島で有名なヤンバル地域も北部にある。最北端の辺戸岬をぐるり回ってからも北部を進むが西側からはずっと観光地や道路沿いを漕ぐ事になる。人工物の景色は大迫力の自然と比べてしまえば面白みにかけてしまう。

だから僕は東側の特に北部を楽しみにしている。

なので前回から東海岸に入った事に心踊っていた。

 

 

そして久高島の夜が更けて朝を迎えた。

外に出てみると相変わらず風が強い。

今日は近くにある津堅島をさらに超えて浜比嘉島まで行きたいと思ってた。

台風が3日後に本島の近くを通るので、浜比嘉島の知り合いの家に避難させてもらう事になっていたからだ。

まだ台風の影響はなく明日の夕方からだんだんと天気が悪くなっていくそうなので

海に出るとしたら今日しかなかった。

 

今日到着できれば、カヤック周りの片付けをして準備万端で台風に備えられる。

ダメなら津堅島か久高島のフェリーやバスを使って島に行く予定だったが、それは今回の旅のモチベーションを大きく崩す事になる。なので、なるべくカヤックで行きたかった。

浜比嘉島カヤックで渡れるか挑戦してダメなら明日朝一のフェリーで帰ろう。

朝の天気で海に出れないわけでは無いので、僕は海に漕ぎ出す準備をした。

 

 

 

久高島から隣の津堅島まで最短距離で約10キロ。僕がいるのは久高島でも津堅島とは反対側なのでプラス3キロ久高島沿いを漕ぐ事になる。

なので合わせて13キロ以上はある。

 

カヤックで進む自分の平均速度は時速約6キロ程度。単純計算だと2時間と少しだが、カヤック自体その日の天候にかなり左右されるので、今回は半分程度しかスピードは出ればいい方だろうなと考えていた。

 

風8メートル波は2.5メートル。

 

津堅島から久高島に向けて風が強く吹いていて風負けしても久高島に帰って来る予定だ。

ウネリが外洋から入ってきたとしても沖縄本島側に流されるだけなので問題なさそうだ。

少し不安なのは津堅島と久高島の境は深い場所になっていて大型船の航路にもなっている。

以前カヤックに乗っていたら目の前で米軍の潜水艦が浮上してきた人もいるらしい。それがちょうどここの話だった。

潜水艦を見てみたいが、真下から上がって来られたら怪我じゃ済まなそうだな。

 

以前にも津堅島と久高島の間はカヤックで渡った事もあり、そのときは2時間かからないで島渡りが出来た。

今回は向かい風や風波の影響もあるのでそれよりは時間がかかるのは予想できたが、どのくらい時間がかかるかはわからなかった。

考えすぎてもしょうがないので海に出てみる事にした。

 

僕がカヤックを漕ぎ出したのは漁港の真横で最初は堤防が風除けとなっていたが、そこを超えるといきなり風に煽られた。正直こんな風の中漕ぐなんて億劫でしかない。

最初は島沿いにカヤックで進んで津堅島に一番近いポイントから沖に出て島を目指す予定だ。

ただ、浅瀬に寄りすぎると風波やその跳ね返りの波が激しくカヤックを揺さぶる。

とにかく進みずらくなってしまうので、陸と一定の距離を取りながらカヤックで久高島沿いを進む。

津堅島までの最短距離まで来て僕は沖に漕ぎ出した。

 

沖に出るとウネリもかなり大きかった。

風と同じ方向から来るウネリ。風に煽られてウネリの波の先端が崩れて水が落ちてくる。

崩れた波はカヤックのデッキを走って僕の顔かかる。そしてそれを拭う。

分厚い大きな波なので1つ越える度に真上を向く。僕は空に向かって漕いでるのではないかというほどカヤックの先端は真上を向いていた。

それでも進むスピードは遅いが確実に進んでいる。

特に潮の流れは感じられず、少し安心した。

 

カヤックを生み出した人たちはこんな荒れている海で漁をしていたのだろうか。

しかも北の海で。

自分の乗っているカヤックが元々漁のために作られたのは知っていたが、旅の目的で使っている僕と生活のため漁をしている人達だと同じカヤックという乗り物に乗っていても見ているものは別物だ。

いったいその人達は何を見て感じてカヤックに乗っていたのだろうか。

 

久高島を出て2時間ほど漕いだあたりで遠くから30メートルかもう少しありそうな船が見えた。

徐々に近づいて来るその船は途中から進路を変えて僕の近くまで来てこちらの様子を伺っている様にも見えた。

僕が無視して漕いでいるとその船はすぐに行ってしまったが、海保の船とは雰囲気が違ったのでもしかすると自衛隊か米軍の船だったのかもしれない。

今回はこの船としか遭遇することがなくて潜水艦は見ることができなかった。

 

2時間半経ったあたりでまだ半分程度の距離までしか進んでなかった。

ちょうどこの辺りからまた脇腹が痛み始めてきた。

かなりキツイ。

精神的な疲労が大きくなりながらの残りの距離はかなりしんどかった。

 

津堅島の西側トマイ浜についたのはそれから2時間ほど経った後であった。

脇腹の痛みでかなり気持ちが疲れてしまい。津堅島の浅瀬についた頃には意気消沈していた。

かかった時間は4時間30分。カヤックの時速で換算すると約3キロ程度だ。

ヘトヘトになってカヤックを浜に上陸させた。

砂浜に足を下ろすと僕は水を飲んでそのまま寝っ転がった。

気がついたら時計が1時間進んでいてガッツリ昼寝をしてしまった様だ。

 

 

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時刻はまだ13時過ぎ。

浜比嘉島へはここから約7キロ程度だ。

ここから先はウネリの影響を受ける所も少ないのでそんなに時間はかからないだろう。

脇腹の痛みも引いたし2時間半程度で到着すると決めて僕はカヤックに乗り込んだ。

実際に2時間ほどで浜比嘉島に到着した。

特にこれといった出来事もなくただひたすらに漕いだ。

浜比嘉島に到着して僕の6日目の目標は無事達成できた。

「あ〜疲れたと」1人でボヤきながらカヤックをまとめて知り合いの家に運ぶ準備をする。

元々40キロ以上はある荷物が濡れてさらに重くなっている。

これを担いで知り合いの家まで歩いたほうが1日の中で抜群にキツかった。