沖縄本島一周。出発前夜。 

 

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ツタが絡む田舎のバス停の横に1つ20キロは超える大きなバックパックを2つと布でグルグルに巻いてあるパドルを降ろして僕は荷物の横にしゃがみ込んだ。

ダラダラと流れる汗を袖で拭きながら、日差しから逃れたい一心で小さな日陰の中に潜りこむ。

肩は前後に背負ってたバックパックのベルトが食い込んでいたせいで腕をあげるのも痛い。

しばらくするとバスが来て僕の前に止まると共に乗車口の扉を開く。その扉は新しい事を始める最初の入り口のように見えた。

少しため息をついて、疲れを外に吐き出す。「よっしゃ。」と自分に気合いを入れるために呟いた。 

 

これからカヤック沖縄本島を一周する。

誰にも会わず、ただただ1人で。あまりいい思い出がなかった沖縄本島に自分の中でケリをつける為に。

 

 

 

話はなぜ僕が沖縄本島を一周する事にしたのかまで遡る。

 

 

 

僕は高校生の頃からずっと憧れていたカヤックのツアーショップがあった。

僕が高校を卒業する頃は、初代が引退してショップを2代目に引き継ぐのでバタバタしていてすぐに受け入れてもらえる状況ではなかった。

それでも2代目にどうしても働かせて欲しいと頼み込むと、ショップを3年で安定させて受け入れられるように用意をしてくれる事になった。3年間は他のショップで働いてノウハウを学んでおこうと決めて僕は卒業と共にカヤックショップでツアーガイドの仕事に就いた。

 

3年間の過ごし方は、仕事が忙しくない時はカヤックで自分が行ける所を広げながらとにかく時間が経つのを心待ちに過ごしていた。

 

3年の月日が経ち、沖縄本島に越して遂に憧れていたツアーショップのスタッフになれる事になった。

当時の僕はこのショップで技術や経験を積んでキャンプツアーのガイドとして実力者になってやると意気込んでお店の敷居を跨いだ。

でも実際、ショップは代変わりしてからカヤックツアーをやる気があまりなかった。

というか店自体もほとんど機能していなくて僕はかなりショックを受けたのを覚えている。

 

する事と言えば、たまのカヤックツアーと酒に付き合わされて説教を受ける事。

ほとんどは2代目の遊びに付き合わされる事ばかりで、あまりカヤックに触れる機会もなかった。

それでもすぐに辞めなかったのは、せっかく入れたお店の現実を認めたくなかっただけだったと思う。

 

 

2代目の下について一年近くが経った頃。やっと現実を受け入れる事が出来た僕はそこで自分でカヤックを乗り行くしかないなと思いお店を出た。

どこに行こうかと思ったが、とりあえずはツアーでしていた事を自分でやるしかないなと思って沖縄本島一周を計画した。

それに必要なギアを買うお金もないのでとりあえずバイトを探していたら話がタイミングよく舞い込んで来た。

 

始めたバイト先で沖縄本島に来て1年経った頃やっと友達ができた。

今までは田舎で暮らしていて若い人も周りにいなかったのでとても嬉しい出来事だ。

出来た友達は3人。3ヶ月毎日一緒の職場で朝から寝る直前までずっと一緒に遊んでいた。

娯楽はボウリングしか知らないのかと思うほど毎日ボウリング場に入り浸って、毎回賭けをして一晩で10ゲームを週6日のペースでやっていた。

おかげで僕は1ゲームのスコアが89とどう見ても下手くそだったのが、1ヶ月もたった頃のベストスコアが197にまでなっていた。

今では自分の隠し特技の1つになっている。

 

僕が仕事を辞める時に一番仲のいい奴から「子供の世話でどうしても金を貸して欲しい」と言われて貸してからは連絡が取れなくなり、周りの友達とも連絡が取れなくなって逃げられた。

友達だからと思い貸した自分が馬鹿だと後悔しても仕切れない。

優しさを自分は履き違えていた事に気づいて、金貸さないでちゃんと遊んでばっかの生活の仕方を指摘してあげた方が友達としては良い接し方だったな。と悔やんだが、それも後の祭りだ。

ちょうどその頃、片思いをしていた子にもフラれて僕はまた友達がいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

僕しか乗ってない昼間のバスに揺られながらあまりいい事のなかった思い出を回想して胸にしまった。

それでも閉じた胸の隙間から嫌な匂いが漏れ出していて気にしたくなくても気になってしまう。

思い出してもムカつく事ばかりだ。こんなにイライラしていると今回の一周で自分の中に終止符が打たれるのかも少し不安なってくる。

 

 

目的のバス停が近づいて来た。

財布から小銭を出してすぐに降りれるように荷物を扉の近くに運んでおいた。

運賃を払って荷物を下ろしたらお客のいないバスは行ってしまった。

また重い荷物を運びながら僕は細い民家沿いの路地を抜けて歩いた。

しばらく歩くと目的の浜。北名城ビーチに到着した。

遂にスタート地点に着いた事でテンションも上がってさっきまでのイライラが嘘のように晴れ晴れした気持ちになっていた。気持ちの温度差が一気に変わったからか思わずニヤリと笑ってしまった。

40キロ以上の荷物を支えている僕の膝も笑っていた。

 

 

 

浜を見渡すとちょこちょこ来ている人がいる。北名城ビーチは無料でキャンプもできるビーチで穴場スポットになっている。

ビーチは点々とグループが固まりながらBBQなどをしているので、一番グループ同士の間が広い所に荷物を下ろして僕は背負ってた荷物のジップを開けてカヤックを組み立て始めた。

 

 

組み立てもひと段落して、しゃがみ過ぎで硬くなった腰を抑えながらゆっくりと立ち上がって目の前の海を眺めると陽が傾き始めていた。

BBQしているグループの中には片付けを始めている所もある。昼間の賑やかさも落ち着いて静かになっていた。

 

まだ明るいうちに最後の食料調達に行きたかったので、スーパーまで買い出しに行った。帰り道で見つけた中華屋がうまそうなので晩飯を食ったりしている内にすっかり夜になってしまった。

 

浜に帰ってくるまでずっと、カヤックや荷物にイタズラされてないかだけが気がかりだった。

せっかく買ったギアとか盗まれていたら笑えない。だったら浜に置いてくなって話だけど買い出しの時に重いバックを持って行く訳にもいかなかったので、テントの中に隠しておいた。

 

一通り荷物のチェックして異常も見つからなかった。ホッと気持ちが緩んだら急に1日の疲れが出て眠くなってきた。

夏場はテントの中が暑いので寝る前にフライシートを剥がすとフルメッシュテントは網戸みたいなスケスケの状態になって風を通した。歯を磨いて気持ちがいいテントの中で横になった。

明日は満潮が9時頃だからその位に出発しようとざっくり予定を決めて眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

遠くの方で話し声が聞こえる。

まだ夢なのか現実なのかはっきりしない意識は急に現実に引きづり出された。

目を開ければまだ空は暗く、星が光ってる。

時計を見たら夜中2時半。

なんで起きたのかわからずボーとしているとテントの横で話し声がする。

メッシュ生地越しに見てみると、車がテントの横に停まっていてその車にもたれるように男女がくっついている。

そして何やらいい感じのムードで話をしている声に僕は起こされたのだ。

それがわかった瞬間の気持ちは「マジか!!コイツら」しか出てこなかった。

他のBBQグループからこっそり2人で抜け出して星を見ながら口説くのはいいけど、人寝てるテントの横でやるか普通。

起されてムカついたので、ランタンとヘッドライトを点けて人いるよアピールしても効果は無く。

次は本読むふりして2人の方を向いて寝っ転がりながら、本を照らしてると見せかけてヘッドライトでチラチラ2人に当てても全く反応がなかった。

僕って人に見えてないのかなってちょっと疑いそうになるところだった。

 

ガサガサとテントの中で動いていたら、女の方が「あの人なんでこんな時間に起きてるの?」って男に聞いてる声が聞こえる。明らか僕のことだ。

 

男は「あの人は車で来てないから、片ずけとかも大変だから今からしないといけないんだよ。」

 

女「へぇ〜たっくんって物知りだね♡」

 

ちげーわ!!

たっくん、でまかせしか言ってないよ。

お前らの甘い会話でこちとら胃もたれしそうなんだわ!

 

 

流石にこれ以上、近くに居られると困るのでタバコを吸いがてらテントから出て

カップルに眠れないから離れて欲しい旨を伝えると快く受け入れてくれた。

最初からこうしてればよかった。

 

こうしてもう一度眠りについた。

 

 

 

次は日差しの暑さで目が覚めた。

首回りの汗をぬぐいながら起きて、時計を確認すると8時前であった。

これはちょうどいい時間に起きれたなと荷物をまとめてカヤックを出発できる状態に完璧に整えた。

これから沖縄本島一周が始まる。

自分の知らない出来事やこれから行く場所に心を踊らせながら、少し不安も感じながら武者震いの様な感覚が僕の中を駆け巡った。

 

「よっしゃ。」とつぶやいて僕はカヤックに乗り込もうとしていたら、知らないおじさんに声をかけられた。

「俺もカヤック持ってるよ。今日は天気も良くていいね。」

不意に声をかけられて、ちょうど海に出ようとしていた気持ちに急ブレーキをかけられた様で少しムッとした僕は適当な返事であしらった。

「でもカヤックって疲れるからね。そこまで行くのが限界だよね。」

おじさんの指差す方向はたった1キロもないポイントの事で、これからこの島を一周しようとしている自分がおじさんと同じ土俵にいる程で話してくるのが癪に触れた。

僕の1人乗りカヤックにも何やら言っていて「僕のは二人乗りカヤックだけど、君のと同じくらいのサイズだよ。」と言っていたので、すかさず僕は「小さすぎないですか?本当にあってますか?シーカヤックでそんな小さいの知らないんですけど。」

と冷たくあしらいながら質問責めにしたら、おじさんは何も言わなくなって固まってしまった。僕はおじさんに背を向けてカヤックに乗り込んで海に出た。

 

昨日の夜といい出発間際といい調子を狂わされたイライラが抜けきっておらず、「けっ」と心の中で唾を吐いて、悶々とした気持ちのまま沖縄本島にケリをつける為の旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きはの記事はこちら。

 

humid.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウトドアガイドが作る。キャンプ飯。(沖縄そば編)

 

みなさんこんにちは。

南国ガイドです。

 

 

よくツアーに参加してくれたゲストの方にキャンプ飯の作り方やギアの事を聞かれる機会があるので、今回はツアーのお昼で作っている「沖縄そば」を紹介します。

 

 

 

山を登ったり海に行ったりすると、なぜか汁物が美味しく感じます。

しかも沖縄に来て汁物と言えば「そば」が定番なのでメニューとしてもってこいです。

では作っていきましょう。

 

 

 

 

・食材 一人前

沖縄そば(ゆで麺)

・ネギ

・紅生姜

・ソーキ(レトルトで可)

・平かまぼこ(4分の1枚)

沖縄そば出汁(薄めて使うタイプ)

・コーレークース(あれば)

・水 350ml

 

以上を保冷バックに入れていきましょう。

夏場だと特に暑さで腐る可能性もあるので。

・ギア

 

・ガスバーナ(イワタニやソトがオススメ)

・ガスボンベ

・風防 (風除け)

・鍋

・器

・箸

 

 

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・作り方

 

1まず、ガスボンベとガスバーナーを組み立てます。

 

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2鍋に水、ソーキを入れてバーナーの上に置いて沸かします。

 風が強ければ風防で熱が逃げないように鍋とバーナーを囲いましょう。

 ソーキは煮ていると温まって柔らかくなるのと出汁も出てスープが美味しくなりますよ。

 

 

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3鍋が煮えるまで、待っている間に器にソバを移します。

 ゆで麺は準備が楽でオススメです。

 

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4鍋が煮えたら、お湯をソバの入った器に入れて麺をほぐします。

 10秒程度ほぐしたらもう一度鍋にお湯を戻しましょう。

 硬めが好きな方は特にしなくていいです。

 

 

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5紅生姜やネギのトッピングをのせます。

 ソーキも温まっているので鍋から上げて盛り付けしましょう。

 今回は沖縄ではよく見かける山菜のオオタニワタリがあったので、

 こちらもソーキと一緒に煮てました。

 えんどう豆みたいな味で美味しいです。

 

 

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6最後に鍋のお湯をソバ出汁で味付けしましょう。

 

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7味が決まったらソバの器に汁を移して完成です。

 

 

それではいただきます!!

 

食レポ

味は豚とカツオベースの定番の沖縄そばですね。

優しい味が汗をかいた体に沁みます。

もっと出汁感が欲しい時は「ほんだし」を入れても美味しくなりますよ。

 

途中の味変で「コーレークース」を使えば、辛味と泡盛の香りでまた味が変わるので試してみてください。

ちなみに「コーレークース」とは沖縄の調味料で、泡盛島唐辛子を一緒に浸けたものになります。

アルコールも入ってるので、ちびっ子が使う場合は程々に笑

 

以前、沖縄本島で飲酒で捕まった未成年の運転手が「食堂でコーレークースを使っただけだ」

と供述して少し話題になりました。沖縄ではそのくらいポピュラーな調味料です。

 

 

・まとめ

ちなみに、今回の沖縄そばはもうちょっと工夫をしないと日数が持たないです。

ねぎや紅生姜、ゆで麺は乾物に替えて、ソバだしも持っていくとなると、一食に持ってく量が

結構あるので僕は遠征や長期間でキャンプに行く時は持っていかないです。

 

ただ、一泊のキャンプやピクニックにはいいと思います。

準備や片ずけも楽なのでいいと思います。

 

ぜひ、皆さんも試してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウトドアガイドの失敗談。

 

とにかく後悔していた。

 

南国の強い日差しに焼かれた肌で眉間にシワを寄せると肌が張ってさらにヒリついた。

 

まだ空は赤く明るい。だが、太陽は遥か彼方の水平線に沈んでしまった。

すぐ夜が来て、まもなく辺りは暗くなってしまう。

 

 

そんな事はわかっているものの、目前の岸に辿り着けずに僕たちは焦っていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝6過ぎ。

 

 

 

季節は7月に入ったが、南の島は6時でもまだ薄暗い。

変わり映えのない田舎道を運転するには眠くなりそうな明るさだが、この日を楽しみにしていたので朝から頭も冴えて睡魔も寄ってこなかった。

 

 

前日に泊めてもらった友人の家を出てから30分程で道路の終点に着き、車を停めた。

 

 

 

車に載せてきた荷物を浜に運び、僕は折りたたみ式カヤックを組み立て始めた。

 

 

 

 

しばらくして友達の流星くんも浜に降りて来た。

軽く挨拶もすませると、彼は自分の働くショップから借りてきたカヤックに荷物を詰め込み始めた。

流星くんのカヤックを組み立てる必要がないので、僕が組み立てている間に流星くんは先に準備を済ませて、僕の準備が整うのを待ってくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は夏場にしては珍しくお互いの休みが合った日だった。

 

 

夏場は沖縄全体が忙しくなる。

ツアーガイドをしている僕らガイドは7.8.9月は特に忙しく、1ヶ月に休みが1日なんて時もある。台風が来てくれない限り夏の休みは珍しい。

 

そんな夏場にお互いの休みを合わせられる事は稀で、流星くんとは前から「カヤックでツーリングに行こうよ!」と話ていたので、今回は絶好の機会になった。

 

 

 

 

 

 

 

数日前に流星くんから「この日空いてる?」と連絡をもらった時に僕も休み予定であったので、すぐにカヤックを乗り行こうと決まった。

目的地は、前から興味があった波照間島西表島からカヤックで渡る事にした。

 

 

 

僕はまだ行った事のない波照間島カヤックで島渡りをして行く事に心踊る思い出あった。

流星くんは1度カヤックで渡った事もあり、僕はそれを聞いて経験者と行ける事で安心しきっていた。

今回の僕はかなり人任せな気持ちで行った事を今になって深く反省する。

 

 

 

 

 

 

 

この日のプラン

 

大潮 満潮 6:31 20:05 干潮 00:26 13:25

 

北風4-5m のち東風7-8m予報。

 

うねり1mから2.5m 

 

 

 

フィリピン沖で出来た熱低が近づいて来ていて、八重山列島周辺も影響が出始めてくる日であり、予報より強まる可能性もあった。今考えるとかなりギャンブルである。

 

 

目標。

西表島の南側、南風見田浜から波照間島北側ニシ浜 約23キロ。 自分のペースは平均時速7キロで漕ぎ続けられるので、片道約3時間半予想、帰りは風の影響をうけるのでスピードも落ちておおよそ5~6時間予想 行きは南に進み追い風だが、帰りは反対の北向きになるため、風に向かって進む事になる。なので時間も帰りの方がかかる。

 

 

 

普段プライベートだと1人で漕いでいるので、初めて友達とツーリングに行くのにめちゃ浮かれてた。

しかも漕げる相手がいる安心感になぜか安全な気がして、謎の信頼感に身を委ねていた。

お互いに「何とかなるでしょと」バラついた一体感だけで、今思うと自分で漕いで行くのに何をしてるんだか。

 

 

 

道具やルートの事前の準備も行き当たりばったりでしていたので計画性はゼロに近かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝7時半頃、カヤックの組み立ても終わり、出発の準備ができた。

僕たちは朝凪の鏡のような海の上に漕ぎ出した。

 

 

漕ぎ出して最初はたわいもない話をしていたが、徐々に口数も減って互いに自分の時間に入る。

 

 

僕はパドリングを意識していた、自分の前にある水面にパドルを刺して確実に後ろに送り出す。そうするとカヤックはズイっと前に出て余力でスーと水面を滑る。

いかに前の水を取れるか、いかに効率よく、確実に力を伝えられるか、とてもシンプルで単純な動きでも、する人が変わればカヤックの進み方は驚くほど差ができる。

意識して自分のパドリングをもう1度確認しながら漕げるほどこの時の海は穏やかだった。

 

 

 

時刻はまだ8時半ごろ。

 

微かに見える波照間島を見ながらたまに水を飲んでまた漕いだ。

 

少しずつ強くなる日差しに照らされながら、じわっと汗が出てくる。

海水で湿った袖で、汗をぬぐってさらに進んだ。

 

 

 

 

波照間島を見ながら進んでいると、遠くの方から鳥が少しづつ近づいて来ているのがわかった。

遠くからでもわかる大きな鳥で、2人でジーと眺めていると徐々に近づいていた鳥はカツオドリだった。

 

 

 

 

 

カツオドリは国内だと仲御神島、伊豆諸島、硫黄列島小笠原諸島草垣群島尖閣諸島で繁殖する海鳥。

島、以外にも本州でも確認された例もある。

 

体調は70センチ程度、翼を開くと最大150センチにもなる

 

有名な繁殖地だと仲御神島が「仲の神島海鳥繁殖地」として国から天然記念物として指定されてる。

 

 

 

名前の由来は、カツオなどがいる魚群の周りを飛んでいた鳥を漁師の人がカツオドリと呼んだことが由来らしい。

カツオドリはカツオが追いかけていた小魚を食べる。カツオを襲うから、カツオドリとかではないそうだ。

なので、地域によっては漁師の人が呼ぶカツオドリも実際は他の鳥を指している事もあるそうだ。

 

 

 

見た目は、背中は黒い羽で覆われていて、腹側は羽が白い。

クチバシだけでなく顔全体に羽がないので特徴的な顔をしている。

お面を被っているような、そんな独特さがある。

 

 

 

 

 

 

 

徐々に近づいてくるカツオドリは、水面スレスレをを飛びながら僕らと3メートル位の距離まで来ると急上昇をして僕らの頭の上をグルグルと飛んでは少し離れて、また近づいてくる。

近くを飛んでるカツオドリを見るとその迫力とスピードが圧巻であった。

 

 

何度も近づいてきて、何かを確認しているようだった。

僕らの目線と同じ高さで何度かカヤックの周りをぐるぐるとしている事もあった。僕は相手が近づいてくる度にその独特な顔を見ていた。

何を考えているのかが全く表情に出ない。能面のような独特な顔に惹かれてジッと見ていたら、僕の横を通り過ぎる瞬間にギョロリと目玉だけ動かしてこっちを見ていた。

睨まれたような気がした。勝手に威圧感を少し感じながらも、相手の静かな迫力に感動して漕ぐ手を止め眺めていた。

 

 

前にエンジン船から見上げた事があったが、ここまで近くに寄って来なかった。僕たちの乗っている小舟は休憩所にでも見えたのだろうか。

もし餌だと思って僕らを観察していたとしたら怖いけど、流星君は僕より10センチは背が低いので連れてかれても彼だろうなと思って僕はホッとした。

 

 

 

 

 

カツオドリも遠くに行ってしまい、僕らはまた先に進んだ。

遠くの方に海鳥の繁殖地として有名な仲御神島が見えた。それも靄がかかり、島の影だけが海面からポコっと盛り上がっているのが見える程度であった。

 

 

途中でアジサシの群れが小魚を襲っているのに遭遇した。アジサシは魚を取りに10羽以上が次々とミサイルのように海めがけて突っ込んでは出てきて突っ込んでを繰り返している。

海面も大きな魚が跳ねたりもしているので、僕らは興味津々で近づいてみたが、どんどん魚群は離れて行ってしまい結局間近では見れなかった。

 

 

周りの大きな魚に襲われ、上空からも奇襲が行われる状況は、小魚からしたら恐怖でしかないがそんな大混乱の海の中はどうなっているのだろうか。

相当迫力がありそうだなと興味は湧くけど、ビビリの僕は近づききれずに微妙な距離で見てる姿が想像できた。

それでもいつか見てみたい。

 

 

 

 

気がつくと時計は10:00を過ぎていた。

漕ぎだしたのが、7:30頃だったので、約3時間近く。

距離だけで言えば、3時間半くらいでつける距離なので、休憩などの時間を考慮しても4時間かからないで波照間島につける予定であった。

 

 

この頃には島影もはっきり見えていた。上陸予定の浜もハッキリと見えている。徐々に近づいているのが目に見てもわかるようになってきていた。

そうなると嬉しさでパドリングにも力がはいる。

更に進むと海の青さが西表島と違うのに気が付いた。後から聞いたが「波照間ブルー」なる単語もあるみたいで、観光客の人が沖縄の海の青さを例えて「入浴剤の色」なんて言うが、実際はブルーレットが置かれているんではないかと、思うくらいの蒼さであった。沖縄の島は何箇所も巡ったけど、こんな色は見た事がなかった。

 

「流星くん蒼がすごいよ!濃ゆいよ!すげー色だよ!!」と感動した僕はひたすら流星くんに話しかけていた。流星くんも同じものを見ているのでそんなに言われなくてもわかってる。

 

 

 

 

 

浜には人が多く、それも観光客のカップルばかりだ。男2人がキャッキャとするには似合わないビーチであったが、僕らはおかまいなしにはしゃぎながら2人で動画や写真を撮った。

最初は23キロあった距離が10キロ5キロ1キロと進んで行き、ついには100メートル内に入っていた。もう今にも飛び込んで泳ぎたいくらいの気持ちであったが、ジリジリと最後まで距離を詰めて、僕らの足は波照間島の地面を踏んだ。

 

 

 

行きに漕いだ時間は予定に近く約3時間50分 到着11頃、予定どうりのペースで到着ができた。

 

 

 

 

カヤックを岸に上げてひと段落させた。ワナワナとこみ上げる嬉しさのぶつけ所として、とりあえず2人で自撮りをした。

海にチャプチャプと入り、体の熱を冷まして僕らは飯を食いに波照間島のそば屋へ向かった。

 

 

 

流星くん曰く、波照間島には最高の八重山そばの店があるそうで波照間に着いたらそこで昼飯を食べる事になっていた。

浜から歩くこと10分ほどで「ついたよ」と流星くんがいう場所はまさかの港だった。

「え、港にあるの?」と流星くんに聞くと「そうだよ。」と流星くん。

道沿いとかにそば屋があるのかと思っていたから拍子抜けした。まあ、隠れた名店ってやつなのかと思って港にある船の待合所に入った。

 

 

 

待合所の中を見渡してみると、お土産やさんが2店ほどあり、それ以外には見当たらない。キョロキョロとしていると一角に廃墟みたいな場所を見つけた。

まだ昼頃だというのに、その一角だけはなぜか薄暗く、雑な落書きがまた人の寄り付かなさを表していた。見てくれは小さなカンター席とその奥は暗くてハッキリ見えないが、厨房になっているようだ。

「これかな?」と聞きながら隣をみると、流星くんも驚いた顔をして無言で立っている。

「これっぽいね」少し間を開けて流星くんの返事が返ってきた。

 

 

 

潰れてしまったのかと気になり、お土産屋のおばさんに話を聞いてみた。おばさんも少し嫌そうな顔をしながら「私も知らないと」同じ待合所の中にある店なのに、全くの無関心で驚いたが、それでもやってないならしょうがないと僕らは渋々、港を後にした。

港に行く途中2件飯屋を見かけたが、どちらも臨時休業の札がかかっていたので、待合所のパンフレットを広げながらシラミ潰しにお店探す事にした。

 

 

 

 

 

 

飯屋を探す道中、お土産屋のおばさんの露骨に嫌そうな態度が腑に落ちなかった。

同じ建物で商売をして毎日の様に会う環境なのに、なぜ、そば屋がどうなったのか知らないのだろうか。そこには一体どんな理由だったのだろうか?

 

考えられる理由としては1つは単にそば屋の人間が嫌い。2つ目はそもそも興味がない。3つ目は僕らに対しての嫌そうな態度だったのか。

 

 

1つ目の理由としてはあり得そうだ。

 

世の中には、なぜか癪に触る人がいる。おばさんからするとそば屋の店主がまさにそんな人間だったのかもしれない。

それか、同じ待合所でお店を出しているので、ライバル意識があるとも考えられる。

そばが人気で全く自分の店にはお客がこない事に嫉妬心ダダ漏れだったのだろうか。

やっと宿敵のそば屋が潰れたのに、そこで僕らが「そば屋」という単語を出してしまったから、また嫉妬心がぶり返していたのかもしれない。

 

 

2つ目としては、あまり納得できない。

 

いくら好奇心の無いおばさんだろうと、同じ建物内でそば屋をやっている人が急に店を閉めたら話くらい噂で聞きそうなものだ。

「知らない」の一言では、潰れたのか、長期休暇なのかそれすらもわからない。こんな人口も少ない田舎に住みながら全く知らないのは流石におかしすぎる。

 

 

 

3つ目はあり得そうだ。

 

塩水や汗でベトベトな服や髪でお店を尋ねた僕たちを怪しんでいたのかも知れない。

服もボロで雑に扱えるものを着ていたので、流星くんに関しては肩が破れて肌が出ている。僕も服を日焼けさせすぎて元々青い色の長袖は肩や首元は白っぽくなり汚いグラデーションの様になっている。

 

真っ黒に日焼けした肌のボロボロの服を着た、髪の毛なんかも海水でベタベタな奴2人がおばさんの小さなお土産屋さんに入ってきたら、おばさんを警戒させても納得できる。

なんなら、万引きとかされるかもと警戒して、レジの下でカラーボールを握りしめていてもおかしくない。

怪しい奴が「そこのそば屋潰れたんですか?」と聞いてきたので、とっさに「知らない」と雑に答えてしまっただけかも知れない。

 

 

なんならこれが正解に近い様な気がしてきた。

 

最初はそば屋の人間が憎いのかと思っていたけど、僕らのせいだったか。

そうだとしたら、ごめんね。おばちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

灼熱の炎天下の中歩く事30分。僕らはパンフレットを見ながら歩いていた。

今の所、5件中全てが休業となっていた。僕らは汗をダラダラ流しながら、路頭に迷っていた。

果てしなく続くサトウキビ畑に囲まれた道を歩いて、出てきた6件目のお店も臨時休業であった。

パンフレットを見ていると飲食店が密集している所が少し離れたところにある。行こうか一瞬悩んでみたものの、暑さと今きた道を戻って飯屋を探しに行く面倒臭さに負けて行く気にはなれなかった。

とりあえず「商店でも行ってとりあえず冷たい物でも飲みに行こうか。」と決めて、カヤックを留めた浜の方向に歩き続けていると、僕たちはかき氷屋さんを見つけた。

 

 

 

 

腹が減った男2人はかき氷屋さんの前に立ち止まっていた。

かき氷はどう考えても食べ物というより飲み物だ。9割5分は氷なわけだし、食えたらなんでもいいと言ってもかき氷は流石に違う。

お店の外観からは、どう考えてもおしゃれだ。汗垂らしながらボロボロの服を着た男2人が入る雰囲気では全くない。場違いという言葉そのままであった。例えるなら、お葬式にふわちゃんがいる様な感じだ。これも場違いだけど例えとしてなんか違う。ふわちゃんじゃなくてマットかな?これも違う。もう分かんないからいいや。

 

 

 

 

僕と流星くんはモジモジしながら、「どうする?」と2人して迷っていたが、何か食べ物もあるかもと希望にかけてお店に入ってみた。

お店の感じは、外席がいくつもあって注文や受け取りはお店の窓で行う。早い話がフードコートと同じ仕組みだ。

僕らは注文の列を並びながらメニュー見ていた。千円近くのかき氷がずらっと並ぶメニューの中に「カレー」という字を見つけて、ホッとした。僕と流星くんはカレーとビールを注文すると注文口に一番近い席に着いた。

 

 

 

 

商品を待ちながら、周りを見渡していると かき氷を持った人が次々と僕らの横を通る。カップルや女の人だけのグループ。僕ら以外は、旅行客でお店は賑わっている。

それにしても女の人の割合が多い。みんなカキ氷を入れて写真を撮ったり、カキ氷単体を撮ったり、食べてるところを撮ったりと楽しそうだ。

どれもカラフルで山の様に積まれた氷が印象的なおしゃれなかき氷。波照間島の黒糖を贅沢にかけてある味がとても美味しそうであった。

ただ、おしゃれかき氷でいつも思うのだが、「氷の量が器のキャパにあってないよね。」

 

 

 

 

前にデートでおしゃれなかき氷屋に言った事がある。

器から横にも縦にもはみ出ている物をこぼさないで食べようと、気を使いながら食べた。スイーツを食べるのにあんなに神経がいるのか全く分からない。

見た目がオシャレだからだろうか。そういえば、「オシャレは我慢だ」とか言う人がいるが、そうなんだろうか。僕には全く意味がわからない。

オシャレをするのも、かき氷を食べるのも、必要以上に神経を使うほどの事なのだろうか。オシャレしたいなら代償に何の我慢をするべきなのだろうか。

 

 

 

ゆっくりと慎重に食べ進めてたら、僕のオシャレなかき氷は溶け始めて器から溢れて徐々にみっともなくなっていった。

氷を落とさない様に丁寧に食べると溶けるペースに間に合わない。僕が食べるのが下手で僕もかき氷も最終的には汚らしくなったしまった。

 

焦って食べていたらキーンと頭の中が痛くなるが、それでも女の子の前だからなるべくこぼさないで食べたかった。頭の痛みを我慢して食べている様は見るに絶えなかったのであろう。女の子の視線は氷よりも冷たく、そして頭痛よりも痛かった。

千円も払って何の罰を受けているのだろうと僕はかき氷もロクに食べれない不甲斐なさに心の中で泣きながら、ドロドロに溶けたかき氷を口に運んだ。

 

結局、身の丈に合わない事を無理してやってもキャパを超えているので、ボロも出るし、そもそも無理しちゃってる時点でダサいのだ。

かき氷も丁度いい器に入れたら僕も頭痛と視線の痛みに傷つかなかったはずだし、彼女の引いた顔も見なくてすんだかもしれない。

見た目と中身も合わせたそのままの姿が一番しっくりくるのだと僕は思う。

 

 

 

そんな事を思い出してかき氷を食べている人達を見てたら、自分の中で「そんな背伸びしてかき氷食べなくていいですよ。」と「俺、わかってますよ」という勘違い理解者の気持ちになっていた。

 

そんな理解者気取りの僕は生ぬるい目線で周りを見ながら

 

「みんなに慈悲の心を差し伸べたい。」

「無理しているあなた。僕はあなたの事を変だと思いませんよ。わかってますよ。」

「かき氷なんて本当は食べたくもないんでしょ。」

 

優しさをはき違えた、独りよがり野郎に成り下がっていた。

 

 

 

そんな自分に今は言いたい。

 

 

 

 

「お前いるとこカキ氷屋だからな。」

 

 

 

 

 

 

 

注文していたビールとカレーが届いた。

 

 

カレーは器にご飯とルーを分けてあるシンプルスタイルで、ルーの上にはガーリックチップが数枚のせてある。具は煮込む途中で消えてしまたのか見当たらない。ルーはザ・日本カレーの色や匂いをしていた。

まだ、口がそばのままだったので少し後ろ髪を引かれる様な気持ちもあるけど、そんな贅沢は言えないのでスプーンを手に取り僕は念願の食事にありついた。

 

 

何口か食べ進めて分かった。これ出来合のカレーの味がする。流星くんを見るとこっちを見ながらニヤッとしていた。

僕は流星くんに「これ、あのー食べたことある味だよね。」と話しかけて流星くんも同じ事を思っているか確認してみたかった。だけど、店員さんに一番近い席にいるので「これ出来合のカレーだよね!」なんて言えば聞こえてしまうからすごく遠回しな聞き方しかできなかった。

 

 

流星くんは僕が何を言いたいのか察したのか突然「これレトルトカレーや!!」と大声で言ってしまったので、あちゃーと内心思いながらめちゃ笑ってしまった。

更に「漫画喫茶で100円で食ったカレーと同じ味がする!」と追い討ちをかけてきたので僕は内心、店員に怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。

ここまで露骨に言ってる流星くんに「俺はダイレクトに言わない様にしてたのに。」と言いながらあまりに周りを気にしないで喋る流星くんに驚いてゲラゲラ笑いすぎて久々に涙が出た。

 

 

一杯千円するカキ氷屋で食べたカレーは500円だったので、レトルトにもかなり現実味が出ていた。

 

食事をすませて僕らはまた帰りに備えて「漕ぐぞ!!」という気持ちに切り替えた。

 

 

 

 

この日は西表島に夕方までには帰る予定で13時には漕ぎ出して明るい内には西表島に到着しておきたかった。

行きは朝方の風も弱い時間帯で穏やかであったが僕らがお昼を食べて、出発前に海を見たときには風も予報通り強くなり水面には白波がピョンピョン跳ねていた。向かい風だが、こんな状況で漕いだこともあったので時間はかかっても戻れるだろうと踏んでいた。

それと明日は仕事なので今日中に帰らないといけない。と思ったのが間違いであった。

 

 

 

とりあえず早く帰ろうという事で、カヤックに乗り込み海へ漕ぎ出した。

 

 

 

行きが4時間かからないくらいで着いたので、海の状況を見て遅くても6時間あれば帰れるんじゃないかと思っていた。

夏場の八重山諸島は19時半くらいまでは太陽が出ていて完璧に暗くなるのは20時過ぎ、暗くなる少し前には目標のポイントに着くだろうと思って海に出ていた。

 

 

 

途中、少し寄り道もしたが3時間半漕いだ時にはまだ中間地点を超えたくらいで17時前になってしまった。

向かい風とウネリもある状況で、この時引き返していれば追い風に乗って波照間島には明るい内についていたであろう。ただ、この時は西表に帰るという頭で一杯で引き返すなんて全く思いつかなかった。

 

 

 

さらに1時間半進み18時半頃。突然、潮に流され進むのが厳しくなった。ウネリも潮の流れと同じ方向から来るので進んでいないと言ってもいいほどであった。

どうなってもすぐ上陸できる様に西表島の岸沿い近くまでは着いていたのが幸いであった。

太陽が沈むまで、残りのリミットは1時間。それまでに帰るポイントとして決めていた地点にはかなり距離がある。しかもカヤックも潮に捕まり進まない。

 

 

 

元々目指してた地点は西表島の南海岸沿いの中でも比較的東寄りの岸になる。西側の方向に流れがあるので、流れに逆らって漕いでも思う様にカヤックが進まない。

焦る気持ちもありお互いに少し余裕がなくなっていたが、それでも必死に予定していた目的地に戻ろうと漕いでいた。

 

 

 

僕らが帰りのポイントにこだわる理由は、西表島は半周道路と言われる道しかない。

名前の通り島の半分しか道路が通っていないので、どこの浜に上陸しても道路に出れるわけではない。

南側と西側にかけて道路が通っていないので、それがかなり悩みの種であった。

僕らが、行きと帰りのポイントにしているのは道路の終点なので、そこまで行かないとどこの浜に上陸しても結局帰れないからであった。

 

 

 

そこから1時間。岸沿いをぴったり張り付く様に進んでみたが、1時間漕いで1キロ~2キロ程度しか進んでおらず、太陽も水平線の向こうに消えてしまった。

時間のリミットを迎えて互いにピリついた状態でどうするか話したが、とりあえず岸に上がるしか方法は見つからない。

潮が満ちているので、インリーフに入れる状況になので、僕は目の前の岸に上がろうと流星君に伝えて予定とは違うがとりあえず西表島に上陸することができた。

カヤックを岸にあげると、お互いホッとして砂の上に腰を下ろした。

 

 

 

約7時間ほど漕ぎ続けての到着になり、予想から1時間もずれた結果。まだ目的地には着いておらず、これから帰らないと行けない事。

 

 

 

ましてや島が近づいてきて急に西側に流された事が頭の中をよぎっていた。ウネリもあったがあんなにカヤックが進まなくなる程の潮の流れに捕まったのは初めてであった。

潮の流れが強いポイントだと知らなかったのも今回の失敗の1つだった。

 

 

 

それからは2人でこの後どうするかを話していた。今夜は野宿をして早朝で帰るかという話も出たが、どんどん天気が悪くなる事やインリーフも満ちてきたのでその中なら強い流れにも捕まらずに帰れるだろう。距離的にも2時間あれば帰れそうであったのでその日のうちに帰る事にした。

そうこう話しているうちにだんだんと暗くなり本格的に夜になってきた。僕たちはもう1度カヤックに乗り込み帰り始めた。

 

 

 

この日運のよかったのは丁度満月であった事も大きかった、満月の明るさは都会では感じれないが、自分の影が映るほど明るく水面や岸沿いの影ははっきりと見えた。新月であればもう暗すぎて諦めて野宿をしていただろう。

浅い所もあるので自分のカヤックを擦らないように気をつけながら進んだ。思っていたより日中の暑さがなくなったことでかなり身体的には漕ぎやすくなっていた。

 

 

 

 

お互い夜漕ぐのは初めてだったのでかなり緊張もしていた。ただ月の明かりのおかげで想像以上に漕ぎやすかった。

潮の影響もなくカヤックはスルスルと水面を進んでいく。

満月の光が映る水面が綺麗であった。前までは夜の海は不気味なイメージだったが、この時は不思議と穏やかな気持で不安や不気味さは全く感じない。

水面に映った月を見ていると、どうも吸い込まれるような不思議な魅力がある。

 

 

船乗りの言葉で、夜の海は覗くな。という言葉がある。

沖縄本島で漁船に乗って仕事をしていた時がある。その時の船長も似たような事を言っていた。

それは、夜の海の魔力とか海に呼ばれてるとかでは無くて、単に暗くて水面との距離感が掴みずらいからじゃないかと船長は話していた。

 

海上での夜は水面を覗きすぎて海に落ちる奴がいる。

ただ、確かに落ちるのは距離感が掴めないからとしてもなぜか、水面を見てしまう。何か見える訳でもないのに。

あまりスピリチュアルとかは信じてないけど、あの覗いてみたくなる気持ちは一体なんなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

1時間程度漕いだあたりで流星くんのお店の人から僕らが遅いので心配の電話がかかってきた。

ずっと圏外だったので、携帯を見ておらず、帰るのに必死で全く考えていなかった。

周りの人はそんなに心配してくれていたのかと思うと本当に申し訳ない。

今回の失敗のこれも1つだ。

 

 

 

 

 

 

21:30頃に予定の浜に到着できた。

かかった時間は一度上陸した所から1時間半ほどだった。

行きは4時間かからない程度、帰りは8時間かかってしまった。

 

 

こんな大変なことになるなんて思ってもいなかったので、かなり疲れたが失敗の経験になった。それと気をつけないところが明確に出たので、たくさん課題の見えた1日だった。

 

 

もう2度とギャンブルのような賭けには出ない。

海をなめていた事を反省して、前より海も怖く感じてしまう。

慎重にいかに事前の準備が大事か痛感した出来事でした。

 

 

 

 

一応、カヤックでどこか行こうと思っている人。

これからカヤックをやって見たい人は気をつけてください。

 

 

参考程度に下に動画を載せておきます。

 

 

 

海保がカヤックの簡単な安全対策を説明してます。

グランストリームの大瀬志郎さんが監修しているそうです。

大瀬さんはキャンプツアーなどを行うベテランシーカヤックガイドです。

www.youtube.com

 

 

下手くそのいい例も載せておきます。

グダグダで面白くないですが、典型的な準備不足の人の映像です。

映像を見る限り、波もそこまでないのでただ単に下手です。

海が荒れすぎて九死に一生では無くて、経験がなさすぎてテンパりまくって自分で危なくしています。

 

www.youtube.com

 

 

それでは!

 

 

 

アウトドアガイドのノウハウ キャンプ飯編。

 

 

 

みなさん、こんにちは。

 

南国ガイドです。

 

僕の住む島は、コンビニもない田舎の島なのですが、そんな所で普段はアウトドアガイドでカヤックやシュノーケルなどの案内をしながら、休みの日も外で遊んでいます。

 

特にキャンプに行く事は多くて、それも人が居ないような所でするキャンプは最高です。

 

今回は、ガイドがするキャンプの食事をご紹介しようと思います。

 

題して!

 

ガイドが教えるアウトドア。

キャンプ飯。編!!

 

まあ、言い直しただけなんですけど。

 

 

最初に紹介するキャンプ飯なんですが、そもそものここで紹介するキャンプの定義とそれに合わせたキャンプ飯を題材に、準備から作り方を紹介します。

 

 

 

目次

 

 

 

今回のキャンプ定義。

・人のいない所に行く。

・人力でキャンプ地に行く。

・人工物のない所にいく。

・数日間のキャンプ。

・自分で背負って運ぶ。

 

以上を今回のルールにします。

 

これを合わせるとどういうキャンプになるか説明すると、

自分で持ち運べる程度に収めた道具や食料を持って人が居ない所で補給もなしで数日間キャンプをするという事です。

 

食べ物が途中で無くなってしまってもアウト。多すぎても運べなくなるのでアウト。

 

必要最低限で持って行く時に必要な量の準備から紹介して行きます。

 

 

 

準備の仕方

 

キャンプに行く場合、どこに何日行くのか重要ですよね。

これが分からないと準備がそもそもできないです。

 

今回は2泊3日で、平坦な所を歩く想定にしましょう。

なので、あまり重量は重視せずにいきます。

 

 日程がわかったら、後はその日数分の食事を書き出します。

 

 

 

最初は、メニュー決めの仕方です。

 

 

 

そもそも、メニューを決める時に軸としてあるのは、

 

・保存が効くものを持って行く。

・水問題。

・食事はキャンプ中1番の楽しみ。

 

 

まず初めは、

保存が効くものを持って行く。

 

 

これ当たり前ですよね。

腐ったらそもそも食べられないので。

 

 

なので、持っていけるのは

 

 

・常温で腐りにくいもの(玉ねぎ、チーズ、加工肉、梅干しetc…)

もちろん、腐りにくいだけで腐るので要注意。

 

ベーコンは25度くらいの気温で2日は持ちました。

ただ、食べる前に1度匂いを嗅いでおくことをお勧めします。

 

 

・乾物 (米、パスタ。インスタントラーメンなど乾物系一般)

 

水で戻して食べれるものですね。

 

主食系もこれに入るものが多いです。

具材なども乾物で売っている物も多いですよ。

 

ドライフルーツなど甘い物があると元気が出ます。

行動食では、ナッツとドライフルーツを食べながら、行動した時もあります。

ちょっとした休憩で食べれるので、1日に距離を移動する時はガッツリ食べないで

補給のイメージで小休憩の度に少量食べて移動するのも1つです。

 

 

 

 

・レトルトパウチ、固形ルー

 

保存食といえばですね。

 

今時、いろんな味があるので買い物中に「何味にしようかな〜」なんてワクワクしてます。

具材が足りない時は、缶詰の具材を足すと夢が広がりますよ。

  

 

・缶詰

昔からの保存食。

パウチと違い、具がちゃんと入っているイメージです。

ただ、量は少ないので、レトルトや固形ルーの具材として融合させると数段美味しくなります。

 

欠点としては、重量があるのとバックの中の場所を取るので、パウチの方がそういう部分では持ち運びに便利です。

なので僕は持って行く際は厳選して持っていきます。

 

 

次は

水問題。

 

これはかなり重要です。

 

命の水は暑い日は2リットルくらいは平気で飲みます。

なのに、めちゃ重い。

 

食事でも使うので1日3リットル位は暑いときは考えていた方がいいです。

ただ、それが何泊分にもなると重くて持っていけません。

 

なので最初に水を汲めるポイントは絶対に抑えていた方がいいです。

意外とこれをしないで、脱水で死にかけている方も多くいるので気をつけてください。

 

後は雨が降れば濁って飲めなかったり、雨が降らなさすぎて、沢が淀んでいる時もあるので

それも考慮して、濾過器があるとかなり使えます。

 

 

次に

3つ目の食事はキャンプで1番の楽しみ

 

 

これは言葉のままで、

衣食住の中では普段より汚く、も普段よりは快適さに劣るわけです。

 

 

数日風呂に入れない事や洋服が常に湿ってるなんてザラにあります。

暑くて寝苦しかったり、思ってたより寒かったりする事も。

 

 

が普段より不快な環境で過ごしている時、残りのは毎回作って食べるので、普段と変わりません。

そこに、の欲もぶつかるので更にへの要求は強くなります。

 

自然と食事を無下にはしたくない思いが芽生えてきて、食事はこだわるようになります。

 これがキャンプでの食事の楽しみな理由です。

 

 

それではこの2つを抑えて、キャンプ飯の準備をして行きましょう。

 

 

 

2泊3日のメニュー

 

 最初にキャンプ中のメニューを書き出します。

 

今は何も準備していないので、

このまま2泊3日の買い出しに行こうにも、何を買っていいのかわかりませんよね。

 

 

そんな時、最初にやる事は1日3食に何を食べるか書き出す事です。

その1歩目がメニュー決めになります。早速書き出してみましょう。

 

 

初日の朝と最終日の夜は家で食べるので、持っていかないです。

 日中は移動している事が多いので、行動中に簡単に食べれる物で考えています。

 

表にするとこんな感じです。

 

f:id:Humid:20210707235447j:plain

例えの表なので、雑なメニューですが今回はこれで準備をしていきましょう。

 

 

 

次にメニューが決まったら、

 

必要な食材の書き出し

 

これをすると、今回の必要な物が分かるのと忘れ物チェック表にもなります。

買い物に行く時やパッキングの時に欠かせません。 

 

 

 1日目

 

朝:×

 

昼:パン    

・菓子パン2個

 

これは移動食として考えているので、パパッと食べられるもの。

 

夜:トマトペンネ

 

ペンネ120g

 ・ハヤシライス 固形のルー

・ハッシュドビーフ

・マッシュルーム

 

ペンネを茹でながら固形のルーや具材を入れてソースを作っていきます。

 

ハヤシライスの固形ルーはメーカーによってトマト味が強いので勝手にトマトペンネと読んでいます。

表を作った時にいつもの癖で書き間違えました。

 

 

 2日目

 

朝:塩ラーメン

・インスタントラーメン 1個

 

お湯を沸かしてパパッと食べれるのでよくやります。

 寝起きでも塩味なら意外といけます。

 

 

昼:パン

・菓子パン2個

 

これも前日に買っておいた菓子パンで行動食にします。

 

夜:牛丼

・米 1合

・牛丼のレトルト

 

米を炊いてる時にパウチを蓋の上で温めれば熱々の牛丼が食べれます。

 

次の日まで米食が続くので、この時にまとめて炊いておけば楽です。

余程暑くない時以外は夜のうちに炊いておいた白米が次の日の昼くらいまでは腐らないで食べれます。

不安な場合は当日の朝に炊いて朝と昼分を作りましょう。

 

 

 3日目

 

朝:お茶ずけ

・米 半合

・お茶ずけの素

 

朝はさらさら流し込みます。

米の量は動く前なので、前日の夜より少なめです。

 

 

昼:おにぎり

・米 半合

・ふりかけ 一袋

・梅干し1つ

 

2つの味違いのおにぎりで飽きずに食べれます。

暑いところで酸っぱいものを食べるといつも以上に美味しいですよ。

 

 

以上が2泊3日で行くキャンプ飯の献立作りの例です。

 

 

 

今回は平坦な所を行く想定だったので、あまり食材の重量は考えていませんが、行く先々によって、バックパックの余裕が変わってくると思います。

 

食料によって重量もかなり変わるので、軽量化を目指すなら、フリーズドライがオススメです。

今はいろんな食べ物もあって、美味しいのでかなり良いです。

ただ、量が少なめなので、飯を多く食べる方はフリーズドライだとお金がかかり過ぎます。

 

重量に余裕があるなら献立に自分の食べたい物を持って行くのも楽しみ方の1つです。

 

 

 

+αであると良いもの。

 

メニュー決めの最後に+であると良いものを紹介します。

 

 

・甘いもの

・つまみ

・汗対策

 

 

 

・甘いもの (グミや飴ハイチュウなど)

 

これはとにかくあると嬉しいです。

甘いものは野外での休憩中に癒しになります。

 

行動食でも主食の別にあるとかなり役立ちます。

 

疲れた時も甘いのは元気が出るので何かとあると嬉しいものです。

 

 

 

 

・ツマミ (せんべいや缶詰の魚、乾き物などなど、)

これはもちろん。酒のアテです。

食事だけでは酒は進まないので、個人的に簡単なものを持って行きます。

 

友人と一緒に行く時は、尚更みんなに喜んで貰えるので、あると場が盛り上がります。

 

 

 

 

・汗対策 (タブレットやポカリなど)

 

移動中、汗対策は欠かせません。

尚更、暑い気候なら汗を尋常じゃないほど流すので、そんな時はミネラル補充タブレット

ポカリの粉が役立ちます。

 

途中で補充するだけで、少し体が楽になります。

沖縄では脱水症状で体の調子を崩す方が多いので、かなり重要です。

 

ポカリは暑さでやられた時に飲むと体が楽になります。脱水の軽い症状も落ち着くので、必須です。

 

 

 

 

キャンプ飯にあるとオススメなギア

 

これに関してはキャンプ中の食事作りに使うギアを紹介します。

 

 

・バーナー

・鍋

・食器

・刃物類

・保冷バッグ

 

 

 

・バーナー

 

これは僕はSOTOのバーナを使っています。

 

 

僕が持っているのはこちらになります。

一般的なガス管が使えるのがオススメです。’

 

ダッチオーブンの10インチなど重いものでも対応できるのでかなり優秀です。

収納時も片手に収まるほどコンパクトになるので、かなり助かります。

 

 

ただ、着火が少し癖があるので、スムーズに使いたい方は、Iwataniをオススメします。

 

 

普段、ツアー中の昼食作りに使っています。

着火もスムーズで最初から付いてるハードケースで傷がつくのも防げます。

使い勝手もSOTOと大差ないのでかなり重宝してます。

 

上で紹介した、2つはバーナーを直接ガスボンベとつなぐので、置く時にバーナー+ガスボンベ分の幅がいります。

岩場などの不安定な場所で使う場合は、次に紹介する商品がオススメです。

 

 

 

こちらがおすすめです。

sotoのフュージョン

 

コンロとガスの間にチューブがあるので、コンロサイズの置き場があれば、使えます。

 

色々な環境に行く方はこちらがおすすめです。

どこでもバーナーを使いやすいので、状況ではかなり重宝します。

 

 

・鍋

 

調理する時に必要な道具になります。

 

大きな鍋で調理する場合、米を少量炊くのはうまくいきません。

荷物にも邪魔になるので、自分が何用で使うのかある程度最初に決めて準備しておきましょう。

 

今は1人用鍋などもたくさん種類があるので、自分にあったものを探すといいと思います。

買った商品でうまくいかなかったら、メルカリで売りましょう。

僕もそうやって自分に合うギアを探してきました。

 

 

焚き火などで調理する場合は、取手が熱くなってシリコンのカバーなどは溶けてしまったり、熱くて鍋が持てないこともあるので、取っ手が着脱式のものをオススメします。

 

 

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僕は普段これ使っています。

取っ手も取れて、深い鍋と浅い鍋がセットになっていてかなり使い勝手がいです。

 

鍋に関しては1リットル位の容量が一人分には最適です。

後は自分が何用で使うかでかなり変わってくるので、それを踏まえて商品を見るといいと思います。

 

 

・食器

 

正直、鍋を器代わりに使っていますが、シェラカップはあると便利です。

深いので、汁でも飯物でも使えます。

直接、火にかけられるのもあるので、あると何かと重宝します。

 

 

 

箸やフォークなどは割り箸やナイフで代用するので、こだわった事はありません。

 

特別気にしなくていいと思います。

 

 

・刃物類

 

ナイフは何かと使えます。

食材を切るのはもちろん。木を削ったり、ロープを切ったりと使い道は無限大。

 

 

[rakuten:f182109-sakai:10000957:detail]

[rakuten:jism:12055785:detail]

僕は普段これを使っています。

他にも一本ビクトリノックスのナイフを使っています。

 

[rakuten:leather-cosmos:10000171:detail]

 

ただ、使った感じは最初に載せたシンプルな方が使い勝手はいいです。

 

後は、調理メインで持って行くなら包丁ケースがあります。

以前、包丁を持ってきて調理されている方がいて調理をキャンプ中にする方には良さそうでした。

魚を取ったりする方などは是非おすすめです。

一応載せておきます。

 

[rakuten:interior-palette:10096255:detail]

 

包丁があれば普段の料理が再現しやすいので、食材も美味しく調理することができます。

 

 

・保冷バック

 

これはあるとナマ物が1日は持つようになるので、メニューの幅が広がります。

飲み物も冷たくできるので、キャンプ中に冷たいビールを飲むことも可能です。

 

 

[rakuten:ra-must:10035306:detail]

 

これは350mlの缶6本を持っていけます。

頑張ればもうちょっと入ります。

ちょっとしたお出かけや2泊3日分の保冷バックにも使っています。

 

 

 

[rakuten:greenzone:10003559:detail]

 

こちらはシアトルスポーツ 12クォート。

 

容量も先ほど紹介した、サーモスの5リットルバックよりかなり余裕があります。

長期間出かけるならこれがおすすめです。

満杯にするとかなり重いので、カヤックの旅などで容量を気にしないときにメインで使っています。

今は中国で生産されるようになり、値段も下がって買いやすくなりました。

前はアメリカで作られていて、今はアメリカ生産は終了しましたが、強度はアメリカ製の方が段違いに高いのでアメリカ製がおすすめです。

まだ探せば中古で出ていたりするので、どうにかゲットしてみてください。

 

 

 

メニュー紹介

 

ここでは僕が普段やっているキャンプ飯を少し紹介しようと思います。

 

ビーフシチューペンネ

・炊き込みご飯

・ちらし寿司

 

 

ビーフシチューペンネ

 

まずはじめに基本の食材になります。

 

ペンネ

・水

ビーフシチューのルー

・コーンビーフ

 

 

次につくりかた。

 

 

・鍋に水を張ります。

 

水の量はペンネを茹でながらソースにするので、多すぎない方が作りやすいです。

だいたいペンネを鍋に入れた量の2〜3倍でいいと思います。

お湯を火にかけて沸かします。

 

ペンネを茹でる。

 

鍋そこに引っ付かないようにたまにかき混ぜながら茹でていきます。

 

メーカーによって茹でる分数はまちまちですが、湯で時間の1分前くらいに

茹で汁をソースへ変えていきましょう。

 

・ソース作り

 

ペンネがあらかた茹でれたら、ビーフシチューのルーを投入します。

それと同時にコーンビーフを入れていきましょう。

 

ルーが溶けたら完成!

 

 

 

複雑な料理はややこしくなるので、シンプルイズベスト!

 

キャンプ中は水に限りがあるので、無駄なく使いましょう。

 

ルーを変えれば、カレーやホワイトシチュー、ハヤシライスのソースに早変わりです。

 

他にも野菜など、具を入れても美味しくなります。

根菜などの湯で時間が必要なものを入れる場合はペンネと一緒に茹でちゃいましょう。

 

パスタよりペンネの方が延びてしまっても美味しいので、オススメですよ。

 

 

 

 

 

・炊き込みご飯

 

基本の食材

・米

・水

・鳥釜飯

・焼き鳥の缶詰

 

作り方

 

鍋に上で紹介した全ての具材を入れます。

 

量として米は、炊き込みご飯の素にあった合数入れましょう。

 

水の量は米の1.5倍を入れてください。

 

缶詰は焼き鳥以外にも、味の系統があっているものを使えば美味しく食べれます。

 

米は炊くと1.5倍は膨れます。

米と水を鍋一杯に入れてから炊き始めると、鍋から溢れます。気をつけてください。

鍋の半分くらいの量なら、問題なく炊けますよ。

 

ただ、鍋に対してコメが少なすぎてもうまく炊けないので、米と水を入れて少なくても鍋の3/1位の量で炊き始めるといいと思います。

 

・米の炊き方

 

準備ができたら、最初は中火で炊き始めます。

 

火力が強すぎると焦げてしまうので、要注意。

焦げたら匂いが米に移って一気に不味くなります。

 

 

特に、醤油や具材などが混ぜてある場合は、焦げやすいので注意。

 

 

火にかけて10分くらい程で吹きこぼれます。

吹きこぼれが起きない場合は、蒸気が白くハッキリ見えてきたらタイミングです。

 

そしたら、火を極小にしましょう。

 

 

焚き火で炊く際は、コンロの様に火が一定に広がってないので、熱ムラを起こして焦げやすくなります。

なので、焚き火で炊く際は、火を小さくするタイミングで一度、鍋底を半回転させると一部だけ熱が強く当たり続けないので、焦げづらくなりますよ。

 

 

 

あとは蒸気が出なくなるまで待つだけです。

 

蒸気が透明になるくらいまででなくなってきたら、ちょっとだけ蓋を開けて確認します。

 

中の米が立ち上がっていたら、火を止めます。

まだ、米が立っておらず、水っぽかったらもう少し火にかけましょう。

 

火を止めたら、後は10分ほど蒸らします。

 

蒸らすのは、米の芯が残らず炊き上がるのと、鍋底についてるオコゲが綺麗に取れる様にするので、重要な行程です。

 

いくらお腹が減っていても待ちましょう。

 

そして、10分経ったら完成です。

 

ほぐして、器にもれば自然とお腹も減ってきます。

味噌汁があればなおさら美味いです。

 

お茶ずけの素とお湯をかけて、炊き込み茶ずけにしても美味しいですよ。

サラサラっと食べれて朝にもってこいです!

 

沖縄でキャンプしていた経験上、1晩くらいでは米は腐らないので、多ければ翌日の朝ごはんでも最高です。

腐りやす食材を米と一緒に炊いた場合は、具材から痛むこともあるので、気をつけてください。

 

 

 

・ちらし寿司

 

夏場など、日焼けをしたり熱い気候でキャンプをした時に酸っぱいものはとにかく美味しいので、今回最後のメニューはちらし寿司です!

 

 

材料はこちら。

 

・米

・水

・ちらし寿司の素

・トッピング

 

 

作り方

 

まずはを炊きます

 

炊き方は上記と一緒です。

ちらし寿司の素に合わせた量の米を炊きましょう。

 

炊き上がったら、米とちらし寿司の素を混ぜ合わせます。

 

混ぜ合わせてちらし寿司の土台は完成しました。

 

大事なのはここからです。

 

・トッピング

 

これは缶詰や乾物、レトルトなどを使っても十分に美味しいのですが、

現地で食材が採れた時はなおさら美味いです。

 

釣りや魚突きができたら、採れた魚の刺身を乗せても最高です。

泳いで貝を見つけたら、貝の身を散らしても抜群に美味いです。

 

酸っぱいご飯が火照った体に染みる。

この世の極上の食べ物と化します。

 

みなさんも是非やってみてください。

 

 

 

 まとめ

 

いかがだったでしょうか。

 

今回重要な点としては、限られた中でどう美味しく食べるか?

 

これが大事になっているので、みなさんも自分のなりのキャンプ飯メニューを試行錯誤して作ってみてください。

 

美味しい新メニューができた時の嬉しさはたまらないですよ。

 

後はおつまみも美味しいもの知っている方がいたら、是非教えて欲しいです。

 

まだまだ、今回紹介できなかったメニューがあるのでまた載せようと思います。

 

みなさん食べたいメニューなどコメントでいただけたら、キャンプ風にアレンジします。

 

それでは!

 

 

 

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彼女の思い出。

 

「彼女ってどう作るの?」

 

 

飯を食ってる最中に、向かいの席に座る友達が唐突に質問投げかけてきた。

 

 

僕も長い事彼女がいない。

 

そんな僕に質問をするなんて、キリストに仏教を説いてもらう位的外れだ。

そう思って僕は無言で飯を食べ続けた。

 

 

それで察したのか友達もそれ以上聞いてこなくなり、飯を口に運ぶ時間だけが流れる。

 

 

「そもそも誰か気になる子いるの?」と僕は聞いてみると、「誰もいねーよ。」と返事をぶっきら棒に投げつけられたが、そうなんだよね。そもそも相手になる子がいないんだよね。

 

 

 

 

 

出会いの少ない田舎の島で、コミュニティも限られていて、コロナで仕事もなく、

新しく働きに島に来る人もいないので、僕も含め彼女のいない若者たちは盛りを持て余していた。

 

 

 

 

 

 

仕事もあまり無いので、島でボーと過ごしすぎては流石に良く無いと思い、

夏を迎えてツアーガイドの仕事が忙しくなる前に僕は1度地元に帰ることにした。

 

 

 

滅多に会えないガイドの大先輩と話をする機会を作ってもらい、地元の友達とも疎遠になる前に会えた。

滅多に出来ない都会の生活。たまにしか会えない人との会話。

 

 

同じ業種の先輩に喝を入れていただき、背筋がシャンとした感覚や年に1度会うかどうかの親や兄弟。

休みの期間は3週間しかないので、僕も回れる内にあちこちに行って会いたい人が沢山いたが、それでも限られた人にだけにしか会えなかった。それだけでもとても有意義な時間になった。

 

 

でも彼女は出来なかった。って言うか女の人と会う機会がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

悶々としながら出会いがないかなと思って、出会い系サイトにも登録して有料アカウントにまでなったのになかなか会うまでの機会はなかった。

 

 相手と連絡が続いても自称ヘソフェチでヘソの写真を送って気に入ったら会ってくれる。

とかいう一方的な審査を受けるために、ヘソの写真を撮って送った。

 

返事が来るまで想像して楽しんでた。

 

会えたら新しい世界が開けちゃうかもな。

 

ヘソ開発されちゃうかも。

 

とか知らない世界に興味津々だったが、写真を送ってから連絡が帰ってこなくなった。

 

 

 

 

値段交渉してくる女や連絡してても上から目線の奴も多く、お金払って何やってんだろ自分みたいなメンヘラ女子の様な心持ちになりながら、なんとか会う機会が出来ても手も出せずに悶々とする日々が続いていた。

 

 

 

 

 

島に暮らす若者にとって東京に行くのは一大イベントだ。

 

特に僕の住む島にはコンビニすらなく、もちろん娯楽施設なんてありえない。

唯一、あるカラオケもスナックに置いてあるやつなので、大勢の前で歌うのはシラフじゃ出来ない。

 

大都会は夜中でもピカピカ光るライトや人の多さ。見上げる程高いビルや鳴り止まない騒音。

久々の都会がストレスに感じたのか、それとも興奮しすぎていたのか

眠らない街東京で僕は眠れない日が続いていた。

 

 

それでも会う人や行きたい所を回っていたが、疲れも溜まって。

東京も飽きて来た頃にたまたま京都に行く事になった。

 

 

 

 

以前、1度ツアーに参加していただいた家族が、本州に帰ってきたら一緒に食事でもしようと

誘ってくれていたので、連絡してみたら是非合いましょうと話が決まって、僕は家族が住む京都に行く事になった。

 

 

 

 

 

そして迎えた当日、僕は教えてもらった場所につきチャイムを鳴らすと家族が出迎えてくれて合流した。

家族構成としては日本人のお父さんとフランス人の奥さんと子供が2人。

 

喋るときは基本は英語。

ただ、僕はあまり英語はわからないので、なるべく日本語で会話をしてもらっていた。

 

 

 

 

その日は家族の人が僕以外に3人の友人を招待していたので、家族とその友人3名と一緒に食事をとった。

 

 

 

招待された友人3名は国籍がバラバラで、食卓を囲んで話すときは基本は英語で話していたが、どうしてもわからない時は僕は日本語で会話をしていた。

 

 

 

英語の内容としては何となくは何の話をしているかわかっても、内容までは理解できない時が多い。

そんな状況で僕はどうしても緊張が抜けなかった。

あまり何を話しているかわからず、伝える事も上手くできない。もどかしかった。

 

 

 

 

 

家族の友人で来ていた人の中に1人綺麗な女の人がいた。

彼女は日本人とフランス人のハーフで名前はサラさん。

 

 

 

片言の日本語と基本は英語やフランス語を話している。まだ日本には来て2年ほどだと言っていた。

聞くとフランスに住んだりアメリカに住んだりと転々としていてあまり故郷らしい故郷はないとの事。

今はおばあちゃんの地元がとても気に入ったので日本に住んでいるらしい。

 

 

他の2人にも出身を聞いてみたが、ここと言える故郷がないらしい。

そんな環境の人たちに会う事も少ないのでとても興味深い話だ。

 

 

 

島で暮らしていると、中学までしか学校がないので、高校生になるには強制的に島を出る事になる。

2歳から保育園が始まり、そこから同じ同級生と中学卒業までの約13年を一緒に過ごす。

新しい友達も珍しい、あまり外の人と出会いがない子達が多いのは島に暮らしていたら当然のことで、これは故郷らしい場所がないと言う人達とは真逆に近い。

 

 

逆にその子たちは故郷しかないのだ。他に出る場所もなく過ごす環境も決まっているので、

高校生になったら、同時に島を出て新しい環境に慣れないといけない。

そうなると新しい友達の作り方が分からなく精神的に疲れてしまって高校を辞めて島に帰って来る子も確かにいる。

そんな子達も故郷だけで暮らしすぎてしまった辛さがもちろんあると思う。

 

 

逆にあちこち転々としていて深い仲の子も少なく、あまり自分の落ち着く場所がないような環境で育ってしまう人とは両極端な話だ。

 

僕は小学生の時に転校をして高校からは男子寮だったので程々に新しい環境に触れる機会はあったが、それでもそこまで極端な生い立ちだと心境が全くわからない。

 

 

 

ただ、1つ思うのは故郷なんて曖昧なものだと言う事。

実家が僕の帰るところだ。

実家がある街が僕の故郷となる。

 

小学校途中で引っ越してきた街に6年程、住んで15歳で実家を出て高校の寮で住みながら、卒業する頃にはカヤックガイドになりたくて南の島に行ったのであまり故郷には関わりがなくなったが、たまに帰るった時に見える街並みは変わっている。

昔は活気が幾分かあった商店街も今では、無駄に羅列した大型スーパーやコンビニに飲み込まれ商店街も閑散としてしまった。

 

 

小学生の時に友達と万引きをして自分流のやり方や、1回の入店で誰が一番多く取ってこれるか競っていた駄菓子屋は駐車場になり跡形もなくなってしまった。

おばあちゃんも歳だったし、想い出の店が無くなってしまうのはしょうがないけどやはり寂しさを感じる。

 

  

みんなが口を揃えて不味いと評判だったラーメン屋はインドカレーのお店になっっていた。

前回、帰った時にそこのカレーを食べてみたが、なんでもかんでも激甘でびっくりするくらいまずかった。

 

 

 

他のお店もコンビニになったり、シャッターが閉まったままの建物も多くなっている。

 

両親も会う度にどんどん年をとっていて老けていく。

 

 

故郷なんて常に変化するのだ。

 

 

思い描く故郷の姿は自分の思い出の中にしかなく、それでも思い出の姿を追い続けてしまう。

そのギャップが現実として自分の実感になった時にそれが少し心寂しいノスタルジーを生み出す。

それを感じることが出来る土地が故郷だと僕は思うのだ。

 

 

僕も高校を卒業して18歳から6年ほど島に住んで、お世話になった人や思い出のある場所、家族のように過ごした人達が住んでいる。

ここは他の場所に行ったとしても故郷になるだろうと思っている。

 

 

再び島に来た時は島の雰囲気や住んでいる人も変わっていて、少し寂しさを感じるだろう。

なのであまり故郷はハッキリとした物ではないのではないだろうか。

 

 

この話を故郷が無いと言っている人たちに上手く伝えられないと、ただ気にしている事をえぐりそうで、気が引けて言えなかった。

 

 

 

 

初対面の人が多く緊張していたが、お酒も入り徐々に気もほぐれて来ていた。

拙い英語でみんなの会話の中に入ってみたが、以外と通じているようで嬉しい。

と思っていたら急に日本語で聞かれたりして、「ああ通じてなかったんだ」と思う事もしばしば。

それも新鮮で楽しく過ごせた。

気がつけば徐々に解散になり、僕も部屋に戻り眠りについた。

 

 

 

 

3週間の本州滞在も終わり僕は島に帰って、いつもと同じ日々を過ごしていた。

 

 

 

 

ある日ふと、最後いつ開いたかわからないフェイスブック覗いてみた。

 

知らない人から来ている友達申請の中に京都で食事をしたサラさんから友達申請がきているのに気づいて、すぐに承認してそれからメッセージを送った。

 

 

「サラさん 友達申請ありがとうございます。沖縄にくる事があれば連絡ください」

 

 

と社交辞令を踏まえた、紳士的な大人の対応文を打ち終わると僕は送信ボタンを押した。

 

 

 

その日のうちに彼女からは返信があり、見てみると英語で書いてある。

Google翻訳を使い日本語にしてみると

 

 

 

「友達に登録してくれてありがとうございます。そちらの天気はどうですか?」

 

 

 

返信が来て嬉しかった。 

しかも「?」がついているということは、これはラリーを続行させましょう。という意味で、

私はあなたと連絡をしたいという表れだ。

 

 

更に深く掘り下げると

 

 

もっとあなたのことが知りたい。

 

 

 

もっと私の事をあなたに理解してほしい。

 

 

 

あなたと分かりあいたい。

 

 

 

 

私はあなたを欲している。

 

 

 

 

抱いて。

 

 

 

 

僕の脳内コンピューターが弾き出した計算による答えは…

 

「キタこれ!」の一文字であった。

 

 

 

 

僕は高鳴る鼓動を抑え、慌てず、落ち着いた動きを装いながらゆっくりと丁寧な返信をした。

 

 

 

「僕の方は3月なのに短パンと半袖で生活しています。昼間なら海パン一丁で海にも入れましたよ笑 京都の天気はどうですか?」

 

 

 

さすがだ。

パーフェクトととしか言いようが無い。

 

 

まず文章の終わりに「?」を入れる事で、相手にラリーをする気がある事を伝える。それと同時にやりとりを続行させる効果を発揮させた。

 

 

相手に強制的に返答をさせるスペル「?」いやはや恐ろしい。

 

 

 

 

次に「海パン一丁でも昼間なら海に入れましたよ笑」

これにもまた高等テクニックが入っている。

 

分からない人が多いと思うので、文章を見てもらいたい。

 

 

 

「昼間なら海パン一丁で海にも入れましたよ笑」

 

 

 

見ての通り、何も面白く無い。

 

3月の昼間に海パン一丁で海に入れたと聞いて爆笑する奴がいたら申し訳ない。

 

ただ何度見ても、何も面白く無い。

 

 

 

なのに語尾に「笑」をつける事によって、何か面白い事のような気がしてしまう。

そして、ただの短い返信に抑揚をつけたような印象を与える。

恐ろしいそれが「笑」のスペル効果だ。

 

 

あと1つ言えば、相手は日本語が苦手で英語でメールを打っているので、日本語じゃ単純に伝わらない。

読むために翻訳を通したら、「3月に海パンで海に入れたラフター」

などの意味のわからない文になっているかもしれない。

 

 

 

恐ろしい。

 

 

 

 

これで彼女の気が冷めてしまったら2度と返信は帰ってこないであろう。

不安な時間を過ごしながら、1分に83回と恐ろしいペースでフェイスブックを開いては閉じていた。

 

 

 

半年以上は開いていなかったフェイスブックも急な激務にさぞ驚いた事だろう。

 

 

 

しばらくして、彼女からの連絡がきた。

急いでメッセージを開いて内容を見まくった。

 

 

 

「カリフォルニアの天気はいいですよ。

アメリカには来たことありますか?」

 

 

 

 

?????????

 

 

 

何をバグった事を言っているんだ。

頭の中もう大パニックですよ。

 

 

 

全く話が噛み合ってない。

 

 

 

 

しゃぶしゃぶを食べてる白人さんが、鍋の中心にある煙突みたいな所で肉焼いちゃってるのを見たけど、あれ本人は日本文化を体験してるように感じてるけど、体験できてないから。

 

卓上で新しい食べ方発明してるだけだから。

 

 そのくらい噛み合ってないわけ。

 

 

焼かれた肉も焦ってるよ「俺これ何料理なの?俺ってなに国籍なの?」

故郷も無いまま食べられてあんなに薄くまで切られて準備されてるのに、肉も未練タラタラな事だろう。 

 

 

でも、ここで焦っちゃいけないなと思って体制を整えたんですよ。

ガイドはどんな状況でもパニクっちゃいけない。頭が乱すと集団は崩壊する。

ガイドの心得を思い出して、俺は冷静になって返信を返す。

 

 

 

「僕はアメリカに入った事ないんですよね。サラさんの趣味は何ですか?」

 

見事だ。

普段、ツアー中にお客さんとのやりとりで上達したトークテクニックが炸裂している。

 

 

すぐに軌道修正を入れて、何もなかった京都なんて単語は、最初から存在してなかった如く振る舞う。

 

 

ツアー中にお客さんの話が聞き取れなくて、聞き直してもなんて言ってるか分からない時に「そうですよね〜」と流す、得意のスルースキルが役立っていた。

 

 

ちなみにお客さんが僕に質問してい時は、「そうですよね〜」と流しても「○○何ですか!?」と強めに聞き直されて、適当に流したのを見抜かれ、カウンターを食らうときもある。

 

 

 

サラさんの返信は

「私は映画鑑賞と娘と散歩する時かな。あなたは何が趣味?」と返信が来ていた。

 

 

ゔぇ!!

娘さんいるの?!

 

 

 

びっくりというか会った時に独身って言ってた気がするけど…

困惑しながら会話を思い出そうとしてみたが、あまり会話が思い出せない。

 

 

英語主体の会話だと記憶に残すのはかなり難しかった。

 

 

 

っていうか カリフォルニアの流れなんなの?

 

 

 

 

 

それでも冷静に僕は返信を返した。

 

 

「僕も映画鑑賞好きですよ。サラさん娘さんいるんですね。一緒に日本にきているんですか?」

 

 

 

 

段々、話が噛み合わなくなっているのが不安なので娘さんの事に突っ込むしかなかった。

すぐに返信が来たから恐る恐る覗いてみると…

 

 

 

 

 

 

「私はサラじゃなくてAVIです。アメリカのカリフォルニアに住んでいますよ。日本にはいった事がないです」

 

 

 

 

ビンゴ!!

 

やっぱりか!

思ってた通り知らない人だよ。

 

 

てか誰だよ。

 

 

何の手違いでこうなったのか見てたら、そもそもサラさんじゃなくて、間違えて知らない人にメッセージ送ってたや。

 

マァジカ。

 

馬鹿すぎる。

 

 

 

てかカリフォルニアの時点で聞いとけばよかった。

薄々自分でわかっていたのに、それでも細やかな楽しみを壊したくなかった少し前の自分に教えてあげたい。

 

 

 

「それ、知らん人やで。」

 

 

この一言で全て終わったはずなのに。。。。。。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しょぼくれた僕は友達に連絡をして、一緒に飯を食いにいった。

 

いつもと同じ飯屋の同じ席について、同じメニューを頼んだ。

 

 

安定の味を食べ、カチャカチャと器に箸が当たる音だけがする。

突然、僕は友達に質問していた。

 

 

 

「彼女ってどう作るの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラックガイド

「あなたの沖縄ってどんなイメージを教えてください。」

そう聞かれたらなんて答えますか?

暑そう。海綺麗。優しいオバァ。ヤギ。めんそーれ。国際通り。島時間。石垣。なんくるないさぁ。りゅうちぇるとか?

まあ、こんなのは人それぞれだからなんとも言えないのだけど、沖縄に暮らして7年。そのほとんど田舎の島で暮らしていると観光客から住んでる人まで色々な人がいる訳で。

特に最近は田舎の島にチャラい兄さんとかが住むようになったり、お客さんの層とか島自体の雰囲気も変わってきてるんです。

その人たちを見て思う訳ですよ。

「自分のイメージの沖縄で沖縄を過ごしているな」と。

 

これが一体どういう事かと言うと、今の世の中には情報が調べればたくさん出てます。SNSやブログ。ユーチューブやテレビ。外に出ても電車の中吊りやマンボー!マンボー!と唱う宣伝カーまで沢山あります。

 

なんなら観光地は調べなくても情報は自然と入って来ます。

どこかで目にした沖縄写真や映像からだったり、後は南国という「白い砂浜で青い海広い空。」みたいな雰囲気で一括りにされていたりもします。

 

なので沖縄に来なくても事前にイメージの材料となる情報があるので、

「刺すような強い日差し。アロハシャツ。具志堅用高。」などのサガミの最薄より薄っぺらい情報が根強くイメージとしてあるので、実際に島に来てみてもイメージと言うか偏見が抜けないのだと個人的に思っています。

大体似たり寄ったりの共通のイメージがあったりするので結構パターン化「こんな人いるな」と言うパターンが出来上がってます。

今回はそんな沖縄にいる人、来た人のパターンを紹介していこうと思います。

観光客の人達は旅行で来てテンションもぶち上がっている人が多く、稀に自分たちの世界に入りすぎて周りも見えてない人もいます。

例えば、

T字路の横棒と縦棒の接触部分で車止めて運転席で地図広げてるやつとか、そこ駐車したらガッツリ違反ですけど、お兄さん東京ではそんなことしませんよね。みたいな輩は当然のこと

 

「海キレーイ」とかいちいち言って、自分感動してますとわざわざ大声でネット不要のSNS投稿を行うインスタ女子のデモ版みたいな奴らは、彼氏を置いて沖縄来たら大体パコってる。このパコってるってのは、あーそのーまあ、丁寧に言おうと思ったけどもういいよね、セックスだよ!

 

この位はざらにあるけど、短期バイトで島に来た人の中にはもうちょっとレベルが高いのがいて

 

自分って変わってるみたいな事を自分で言っちゃう奴。このパターンは武田鉄矢のモノマネ並みに見た事があるし。自分って他と違うとか言う奴は大体系統が一緒で「前にだれかも言ってなと」思う事をあたかも自分発信のような顔をして言っていたりする。大体の人間は特別な物が好きだから特別と言って周りに好いてもらおうとしている事がモロバレしてる。

後はオーガニックっていいんだよって言うのをべっとりと他の人につけてくる輩も結構めんどくさい。

前に友達の家で飯を作って持って行ったら、そこに初対面のオーガニック系ビーガン女子がいて俺の作った飯が肉料理だったのを見て「私はビーガンで肉は体によくないから〜」みたいな事を言い出してちょっと癪に障ったので「食わなくていいよ」と冷たくあしらったらその後も他の人の持って来たものにもイチャモンを付けていて、そう言う自分は何も持って来てない。

持って来なかった相乗効果でオーガニック奉行には腹がたつ。

お前の好きなオーガニックを無理やりなすりつけて言う通りにさせた相手がうんこ食べる奴だったらお前退けないぞ。なんなら一回食わせてもらえ。

オーガニックはいいと思うなら勝手にやればいいただ、それを人に強要するのは間違ってるぞ。

しかも2年前の話なのにお前これまだ根に持ってるからな。食の恨みって怖いな。

 

気がつけばめちゃめちゃ人の悪口を書きまくっていた。まだまだ悪口が止まらないけど、どんどん面白くなくて本気で悪口書き始めていたので今日はここまで。

全然最初に予定していたものと方向が変わってしまったけど、それにしてもどうして今回グチのブログになっちゃったのかな。

 もしかして、僕が変わってるから、他の人と違うから根に持ちやすいのかな?

 

 

 

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